してさも悲しそうに独り言を云いました。――
「噫。やっとわかった。悪魔の逃げ途《みち》がやっとわかった。悪魔はあの銀杏の樹から逃げ出したのだ。この間の夢は正夢であった。美紅姫はたしかにあの夢を見たに違いない。そして王様も御覧になったに違いない。
そうだ。王様は美紅姫と一所に悪魔に魅入られておいでになるのだ。否《いや》。事に依るとあとの四つの悪魔が……王様の御姿を盗んで……」
青眼先生はここまで云って来ますと、忽ちブルブルと身ぶるいをして屹《きっ》と王宮の方を眺めました。その顔は見る見る青褪《あおざ》めて、眉を釣り上げ唇を噛み締めました。
けれどもやがて何かに心付いた事でもあるのか、ホッと深いため息を吐《つ》いて、頭《かしら》を低《た》れて両方の拳を固く握り締めて申しました――
「そうだ。自分はどうしても王様の正体を探り出さねばおかぬ。恐れ多い事ながら、もし今の藍丸王様が本当の藍丸王様でなかったならば……自分は是非本当の藍丸王様を探し出して、それを守《も》り立て、今の藍丸王様を退けねばならぬ。悪魔を退治てしまわなければならぬ。美紅姫のようにしてしまわずにはおかぬ。それにしても宝蛇…
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