きました。そこには青眼先生が鉄になった紅矢の死骸と氷になった美紅《みべに》姫の死骸とを二つ並べてじっと睨み詰めたまま、枯れ木のように突立っていました。
 紅木大臣は静《しずか》にその傍に歩み寄って、じっと二つの浅ましい死骸の姿を見ておりましたが、やがて今まで堪《こら》えに堪えていた涙が一時《いっとき》に眼に溢《あふ》れて、両方の頬を流れては落ち、流れては落ちました――
「紅矢、美紅……お前達はどうしてそんな姿になったのだ。どんな罪を犯してそんな罰《ばち》を受けたのだ。お父様は今朝《けさ》濃紅姫が家を出る時、たった一目お前等二人に会わせてやりたかった。けれどももし濃紅姫がお前達の姿を見たらば、どんなにか驚くであろうと思って、無理矢理に我慢をした。けれどもこの胸は張り裂けるようであったぞ。許してくれ、濃紅姫。噫《ああ》、妻よ。お前も辛かったであろう。お前の云うのは尤《もっと》もだ。紅矢は鉄になった。美紅は氷になった。残るは濃紅只一人。どこへも遣りたくないのは尤もだ。遣りたくない遣りたくない。けれども遣らねばならぬ。遣るならば両親《ふたおや》が附き添うて、腰元に供《とも》させて、華やかに喜び
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