イフ》を出して、その腕を黒くなった処から切り落そうとしました。これを見た両親はいきなり青眼先生の腕を捕えて引き離しながら――
「ナ、何をするのです。何をするのです」
と叫びました。
「エエ。お放し下さい。今切らなければ鉄になりますぞ。紅矢様は鉄になってしまいますぞ。ハ……放して下さい」
「エエッ。鉄になる……」
と両親は肝を潰して、青眼先生を放しました。
先生は直ぐに紅矢の腕に取り付いて、二の腕の処に小刀《ナイフ》を突き立てて、ギリギリと引きまわしましたが、何の役にも立ちませんでした。骨でも肉でも豆腐のように切れる鋭い小刀《ナイフ》も、まるで鉛か銀のように和《やわ》らかく曲がり折れて、疵痕《きずあと》さえ付ける事が出来ません。その間《ま》に見る見る紅矢の身体《からだ》は腕から肩へ、肩から腕へと紫色が鈍染《にじ》み渡って、やがて眼を怒らし、歯を喰い締めて虚空を掴んだまま、身体《からだ》中真黒な鉄の塊となってしまいました。
この恐ろしい不思議な死に態《ざま》を見た紅矢の両親は、足の裏が床板に粘り付いたように身動き一つ出来ず、涙さえ一滴も落ちませんでした。
青眼先生も最早手の附けよ
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