》が絶えて、うつ伏せに倒れたのを見澄まして引き返して来て、助けて行く風をして馬の上に抱《かか》え乗せて、只《と》或る森の中へ這入りました。
そこで美留藻は自分の顔の繃帯を取って、紅矢の血まみれの顔をすっかり包んでしまいまして、それから今まで借りていた紅矢の着物を返して旧《もと》の通りに着せて、自分は新しい男の着物を着込んで、お婆さんの着物は打《う》っ捨《ちゃ》ってしまいました。
こうしておいて、美留藻はグタリとなった紅矢を、又もや「瞬」の上に抱え乗せて、再び都へ一散に駈け上りましたが、今度は王城の西の大銀杏の樹を目標《めあて》に、青眼先生の門の前に来まして、紅矢を馬の上から突き落し、自分はキャッと叫びながら馬から飛び降りると、そのまま素早くどこかへ逃げて行ってしまいました。
あとに残された名馬の「瞬」は畜生の事ですから何事も知っていよう筈がありませぬ。けれども今自分の背中から落っこちたものを見ますと、自分の主人の紅矢ですから、畜生ながら気にかかると見えまして、しきりに紅矢の身体《からだ》を嗅ぎながら、ぐるぐる歩きまわっていましたが、やがて首を擡《もた》げて高く悲し気に嘶《いなな》
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