白くれない
夢野久作
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)中心《なかご》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)夏|肥《ぶと》りの
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから6字下げ、8字詰め、罫囲み]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)いよ/\腕を磨き
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−
[#ここから6字下げ、8字詰め、罫囲み]
残怨白紅花盛
余多人切支丹寺
[#ここで字下げ終わり]
「ふうん読めんなあ。これあ……まるで暗号じゃないかこれあ」
私は苦笑した。二尺三寸ばかりの刀の中心《なかご》に彫った文字を庭先の夕明りに透かしてみた。
「銘《めい》は別に無いようだがこの文句は銘の代りでもなさそうだ。といって詩でもなし、和歌《うた》でもなし、漢文でもないし万葉仮名でもないようだ。何だい……これあ……」
「へえ。それはこう読みますんだそうで……残る怨み、白くれない[#「くれない」に傍点]の花ざかり、あまたの人を切支丹《キリシタン》寺……とナ……」
私はビックリし
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