うしたのですか」
と尋ねました。
二人がはじめからの事を話しますと、荷車曳きはため息をして、
「それは大変です。ではこうしたらどうです。私がお弁当を上げますからそれを二人で食べて、それから私についてお出でなさい。そうしたらうまく勝負をつけて上げます」
二人は喜んでお弁当をたべて、荷車曳きについて行きました。
荷車曳きは二人を連れて市場に行くと、いつもの倍もその上に荷物を積んで、二人に言いました。
「この車のあとを押して下さい。先に疲れた方が負けです。私が審判官になります」
二人は一所懸命に押しました。それから何里も行くうちに二人はもう死にそうにつかれましたが、それでもやっとこさ向うへ着きました。
荷車曳きはいつもの倍もある荷物を売って、お金を沢山に儲けました。
荷車曳きは二人にお礼を言って、行こうとしました。二人は驚いてひきとめて、
「一体どちらが勝ったのだ」
と尋ねました。
「どちらも負け勝ちなしです。負け勝ちがつけたいならば、明日も一ぺん今日の処へいらっしゃい。そうしても一ぺん車のあとを押して下さい」
「馬鹿にするな」
と二人は怒りました。しかし荷車曳きは平気で笑
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