鳥や獣《けもの》が人間を見たことがないので珍らしそうに近寄って来ます。そうしてしまいには、友達のように身体《からだ》をすりつけたり、頭にとまったりするようになりました。そんなのにヒョロ子は千切った木の実を遣りながら、
「まあ、先生。ここいらには猪や鹿がこんなに沢山居るのですね」
 と云いましたので、無茶先生も豚吉も大笑いをしました。
 こんな風にして何日も何日も旅を続けてゆくうちに、或る日ヒョロ子はシクシク泣き初めましたので、無茶先生がどうしたのかとききますと、ヒョロ子は涙を拭いながら、
「お父さんやお母さんに会いたくなりましたのです」
 と申しました。それをきくと豚吉も一所に泣き出しました。
「私も早くうちへ帰りとう御座います。たった三人切りでこんな山の中をあるくのは淋しくて淋しくてたまりません」
「馬鹿な」
 と、無茶先生は急に怖い顔になって二人を睨みつけました。
「何をつまらんことを云うのだ。お前たちは自分の姿を人が見て笑うのがつらいから村を逃げ出して来たのじゃないか。こうして山の中ばかりあるいていれば誰も笑う者が無いから、おれはお前たちをここへ連れて来たのだ。こうして一生山の中
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