とかえよう。サア、これからお祝いに御馳走をするのだ」
「ヘイ、かしこまりました」
 と、裏口から料理屋の若い夫婦が這入って来ました。
 不意に知らない人間が這入って来ましたので、牟田先生も歌吉も広子もビックリしますと、二人のお父さんは料理屋での出来事を話しましたので、みんな面白がって大笑いを致しました。
「それはよく来てくれた」
 と、牟田先生は料理屋の主人夫婦に御礼を云いました。
「それでは先ず玉葱の皮と葱の白いヒゲと、大根の首と芋の切れ端とでソップを作って、歌吉と広子に飲ませてくれ。そうすると、お腹の中に残っている鉄の錆《さび》がスッカリ抜けてしまうのだ。それから豚の尾と牛の舌と、鶏の鳥冠《とさか》と七面鳥の足で第一等の料理を作ってくれ」
「かしこまりました」
 と、それから料理屋の主人夫婦が大将になって、大勢がかりで火をドンドン起してお料理を作りまして、夜通しがかりで大祝いをしました。
 そうして夜が明けますと、牟田先生や歌吉と広子の父親は料理屋の主人夫婦や雇い人にお金を沢山に遣って帰しました。鍛冶屋のおやじにも遣りました。
 牟田先生と歌吉四人が無事に故郷に帰りますと、村中の人
前へ 次へ
全118ページ中117ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
夢野 久作 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング