ておれ」
と言って又蹴りつけました。奴も怒ってはみたが、これも手が袖から出ず、足も二本しかないので、じっと堪《こら》えていました。
翌朝、太郎、次郎、三郎の三人に三つともそれぞれ買われて、原に連れて行かれました。そうすると太郎さんの達磨も次郎さんの奴も、元気よく高く高く揚りました。しかし三郎さんの章魚は長い足が欅《けやき》の枝に引っかかりました。そして三郎さんが無理に引っ張ったために破れて仕舞いました。その時章魚は、ああ足がなければよいと思いました。
底本:「夢野久作全集7」三一書房
1970(昭和45)年1月31日第1版第1刷発行
1992(平成4)年2月29日第1版第12刷発行
初出:「九州日報」
1922(大正11)年11月20日
※底本の解題によれば、初出時の署名は「海若藍平」です。
入力:川山隆
校正:土屋隆
2007年7月21日作成
青空文庫作成ファイル:
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