、天神の森の方へ歩いて行かれました。……サテは……と胸を躍らせながら一心にアトを跟《つ》けて行きますと、果して天神の森には二人の和服の紳士の方が待っておられました。……スラリとした影とズングリ低いのと……それが近付いてみますと、やはり私の想像通りに傴僂《せむし》の川村書記さんと、好男子殿宮視学さんに違いない事がわかりました時の私の喜びはどんなでしたろう。
森の外の国道には、室内照明《ルーム》を消した幌自動車が、三人の若い芸妓《げいしゃ》さんを乗せて、ヒッソリと待っておりました。それに気が付きました私は、手提袋を腰に結び付けて、黒い風呂敷で手早く覆面をしますと、三人が自動車に乗り込まれるとほとんど同時に夕暗に紛《まぎ》れながら、スペヤ・タイヤの処へ飛付いて、小さく跼《かが》まりながら揺られて行きました。そうしてその自動車の行先が、私の想像通りに温泉ホテルである事がわかりました時の、私の安心と満足……冒険心と好奇心……それはどんなにかドキドキワクワクしたものでしたろう。私の復讐は何もかも最初から、温泉ホテルを目標にして、研究して、計画しておったものですから……。そうして、それがもう第一日
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