威丈高になっていられる虎間先生の前に両手を突いて、半泣きの声を出しながら、どんなにペコペコと謝罪《あやま》られましたことか。
「いいえ、間違いとは言わせません。貴方は妾ばかりじゃない。コンナ風にして何人も何人も女を欺《だま》してお出でになるのです。私は何もかも知っているのですよ。成績の悪い生徒の点数を良くして遣《や》ると仰言って、その生徒やお母さん達に貴方が何を要求してお出でになるかも、よく存じておりますのですよ。貴方の商売道具は、貴方のポケットの中に在る全校の生徒の試験問題ですからね。貴方の下宿のお二階に尋ねて来られた生徒さんとお母さんのお名前は皆、私のノートに書き止めて御座いますよ。貴方の下宿のお神さんが、こんな事に就いて口の固い理由《わけ》も、妾はズット以前から詳しく存じているのですよ。ホホホ……。
 そればっかりじゃ御座いませんよ。今の五年の優等生の殿宮アイ子さんは、貴方の実のお子さんではありませんか。イイエ。お隠しになっても駄目です。毎日毎日お顔を見ているうちにはハッキリとわかって参ります。メンデルの法則って恐ろしいものじゃありませんか。女の児は父親に男の児は母親に似るってほ
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