。新しい小さな紙挾みの中に、あの『謎の女』の新聞記事が、幾通りも幾通りも切り抜いて仕舞って在るじゃあありませんか……いいえ。ほかの記事は一つもないんですよ。わたくしゾッとしちゃいましてね。今にドンナ尻を持ち込まれるかと思ってビクビクしていたんですよ。でもまあソレぐらいの事ですんでよござんした。ええ、ええ、引き取って参りますとも……エエ、エエ、なるたけ眼に立たないように呼び出してソッと連れて参ります。モウモウあんな風来坊の宿請《やどうけ》は致しません。マゴマゴすると身代限りをしてしまいます。……兄貴なんかいるもんですか。みんな嘘ッ八ですよ。……お宅様も災難で御座んしたわねえ。いくらかお金を遣って故郷へ帰したら後生の悪い事も御座んすまいし、怨まれる気遣いも御座んすまい。どうもお気の毒様で御座んした。一人で喋舌りまして相すみません。とんだお邪魔を致しまして……ハイ。さようなら……」
 彼女は約束通り人知れずユリ子を呼び出して連れて行ったらしい。姫草ユリ子はその夕方から私達には勿論のこと、一緒にいる看護婦たちにも気付かれないまま姿を消してしまった。そうして冒頭に書いた彼女の遺書以外に、彼女から
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