支那米の袋
夢野久作
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)妾《わたし》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)たった一本|灯《とも》して
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ああ……すっかり酔っちゃったわ。……でも、もう一杯カニャックを飲ましてちょうだいね……。
あんたもお飲みなさいよ。今夜は特別だからサア……ええ。妾《わたし》の気持ちが特別なのよ。今夜は……。
……そのわけは今話すわよ。話すから一パイお飲みなさいったら……それあトテモ恐ろしい話なのよ。……ダメダメ。いくらあんたが日本の軍人だって、妾の話をおしまいまで聞いたら屹度《きっと》ビックリして逃げ出すにきまっているわよ。
……ああ美味《おい》しい。妾もう一パイ飲むわ。へべれけになるわよ今夜は……ニチエウオ!……レストラン・オブラーコのワーニャさんを知らないか……ってね。管《くだ》を巻くわよ今夜は……オホホホホホホ。……でも、あんたはその話を聞く前に、妾にいくらでもお酒を飲ましていい理由《わけ》があるのよ。何故って妾はこの間から何度も何度もあんたを殺したくなった事があるんですもの……マア。あんな顔をして……
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