と表の往来へ走り出した、生魚《さかな》を陸上《あげ》るのと、おんなじ呼吸でどこを当てともなくエッサエッサと走り出したので消防組と市場の体験のある者以外は皆バタバタと落伍してアトにはイキのいいピンピンした連中ばかりが残って了《しま》った。
 そこで、ヤッと棺桶が立ち止った。
「オーイ、みんな揃うたかーア」
「後《あと》から二三人走って来よーる」
「ああ草臥《くたぶ》れた。恐ろしい糞袋《くそぶくろ》の重たい仏様じゃね――。向うの酒屋で一杯やろうか」
「オッと来たり、その棺桶は門口へ降《おろ》いとけ。上から花輪をば、のせかけとけあ、後《おく》れた奴の目印になろう。盗む者はあるめえ」
 一同はその居酒屋へなだれ込んで、テンデにコップや桝を傾けてグイグイと景気を付けた。
「サアサアみんな手を貸せ手を貸せ。ヨーイシャンシャン、ヨーイ、シャンシャンウアーイ」
 と一本入れた一同は、又もや棺桶を担ぎ上げて、人通りを押分け始めた。すると上機嫌で先棒を担いでいた湊屋の若い奴が向う鉢巻で長持唄を歌い始めた。
「アーエー女郎は博多の――え――柳町ちゃ――エエ」
「柳町へいこうえ」
「馬鹿! 仏様担いで柳町
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