みながら、お湯が冷たくなるまで我慢しておりました時の情のう御座いましたこと……あとでふるえながら夜具の中にちぢこまって、夜通し寝もやらずに泣いて泣いて泣き明かした事でございました。私のお母様に限ってそんな事をなさる筈がない……と幾たび思い直そうとしましても、私の眼鼻立ちが中村珊玉様の舞台姿に似ているという事実ばかりは、どうにも致しようがないのでした。
そればかりでは御座いません。私が東京に行こうと決心致しましたに就きましては、私自身にもわかりませぬ、もっともっと不思議なわけがあるので御座いました。
私はそんな風にして泣かされているにはおりましたものの、それでも毎晩お終《しま》い湯に這入りましてお掃除を済ましたあとで、お湯殿の姿見鏡《すがたみ》をのぞいて見ないことは御座いませんでしたが、その中《うち》に、いつからともなく奇妙な事に気がつきはじめました。それは私の思いなしか、それともその日その日の気もちから来たことも御座いましたでしょうか。そんな風にして柴忠さんのお家中《うちじゅう》が寝静まられた後《あと》に、たった一人でお湯殿の鏡に向い合っておりますと、その中に映っております私の顔が
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