いておりました血の滴《したた》りを思い出しまして、ともすると私の心は物狂おしくなるので御座いました。
 そんな物思いをくり返しくり返し致しておりますうちに、あなたのお父様のお心がお兄様のお姿となって、あらわれておりますのと同じように、私のお母様の思いが私のミメカタチとなってこの世に残っておりますことは、もう疑うことが出来なくなりました。そうして、あなたのお父様と私のお母様が、死ぬまでお隠しになった恋が、お兄様と私とによって顔容《かおかたち》を入れ違えたままに遂げられなければならぬ運命が一刻一刻とさし迫って来ておりますことを、私は毎日毎日ハッキリと感ずるようになって参りました。

 ああ。私は、どう致したらよろしいので御座いましょう。
 世間では私をあなたのお父様のお血すじを引いたものと信じ切っているので御座います。もしお兄様と私とが御一緒になるような事になりましたならば、世間の人は何と云うで御座いましょう。キットあの忌《いま》わしい兄妹《きょうだい》の恋として、そのままには許さないで御座いましょう。
 お兄様と私とがホントの兄妹でないという証拠に、あの古い書物のお話を例に引きましても信
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