と、それまで黙って聞いておりました主人は、やがてタッタ一こと申しました。
「お前の云い分はそれだけか」
妾は口の中で「ハイ」と答えながら涙の顔を上げました。すると主人はその妾の横頬をイキナリ眼も眩《くら》むほどハタキつけました。
……スパ――――ン……と……。
そうしてそのまんま、どこかへ泊りに行きました。
妾は、それからというものホントウに無条件で、身も心も主人に捧げるようになりました。
……ホントウニ男らしい……」
フラウの眼に、涙が一パイに浮き上りました。
底本:「夢野久作全集3」ちくま文庫、筑摩書房
1992(平成4)年8月24日第1刷発行
入力:柴田卓治
校正:江村秀之
2000年7月4日公開
2006年3月6日修正
青空文庫作成ファイル:
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