れは……」
少年は化粧したままの顔で微笑した。
「これは米国の参謀本部で作った日本地図の青写真の写しです。秘密の石油タンクのあり家を予想して赤丸を附けてあるのです」
「ホー。どうしてそんなものがお手に入りましたか」
と云ううちに流石《さすが》の樫尾大尉も昂奮したらしく顔を赤くした。
「それを手に入れようと思って随分苦心したのですが……帝国ホテルにも曲馬場にもなかったのですが」
嬢次少年も顔を染めた。
「……バード・ストーン団長が持っているのを、市俄古《シカゴ》から桑港《サンフランシスコ》まで来る汽車の中で盗み出して写したのです。寝間着《パジャマ》を着た貴婦人に化けて寝台車に這入って、団長の化粧品箱の中から盗み出して、便所でレターペーパーを十枚程使って透き写しをしたのですから、とても判然《わか》り難《にく》いでしょうと思うんです。けども専門家の方が御覧になったら、あらかたの見当はお付きになるだろうと思いましたから……」
樫尾大尉は深くうなずきながら、私達を見まわしつつ、新聞包をポケットに納めた。
「しかしその写されたあとの青写真は……」
「又もとの通りに畳んで、化粧箱の中へ返して
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