させるために、帝国ホテルで待ち構えておいでになったのでしょうと存じます。
 ……帝国ホテルにはJ・I・Cの人はもう一人も居ない筈でございますから……。
 ……その証拠はここにあるこの号外でございます。この号外はもう一時間半ばかり前、貴方がこの家にお着きになる前に配って来たものですから、東京市中には残らず行き渡っているでございましょう。貴方は今日の三時過ぎからお忙しかったために、この号外をまだ御覧にならなかったのでしょう。貴方にこの号外を通知する人が、一人残らず警視庁に挙げられたせいでもございましょうけど……」
 女の言葉はいよいよ出でて、いよいよ励《はげ》しくなって行った。窓の外で聞いている私でさえも真偽の程を疑わずにはいられない事実……眼を※[#「※」は「目+爭」、第3水準1−88−85、333−5]《みは》り、息を喘《はず》ませずにはいられない恐ろしい大変事を、平気ですらすらと述べて行く……その物凄い光景に肌を粟立たせずにはいられない位であった。
 況《ま》してゴンクール氏は全力を尽して女の言葉を遮ろうとしているように見えた。白い銃口を上下にわななかせながら、眼を固く閉じて女の姿を
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