。そんなにジョージは悪い人です。貴女《あなた》を本当に愛しているのではありません。
貴女は愛《ラブ》のためにジョージが入り用でした。けれどもジョージは悪い仕事をするために貴女が入り用だったのです。貴女を使ってミスタ・サヤマを困らせて、おしまいにミスタ・サヤマを欺して、遠い処へ逃げるために貴女を欺したのです。
貴女は最早《もう》ジョージの事を忘れなければいけませぬ。ジョージより他に貴女を幸福にする者沢山居ります。わかりましたか……」
ストーン氏の説教は子供を賺《すか》すように親切であった。その眼は人種の区別を忘れた友情に輝き、その口元は熱誠のために微かに震えて、自分の心持をどうしたら相手の胸の中に注《つ》ぎ込もうかと苦心しているようであった。
すべて男がこうした態度を執る時……殊にストーン氏のような男らしい風采と、溢るるばかりの野性的な元気に充ち満ちた男性が、このような敬意と熱誠を示す時、相手の女性は最も甚だしく心を掻き乱され、引き付けられるものである。けれども彼女は何等の感動をも受けた模様はなかった。最初の通りの固くるしい姿勢に返って、膝の上のハンカチを凝視《みつめ》ているきり
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