もらう事にする。
 ところで冒頭に断っておくがこの第六感というものは、千里眼、又は催眠術なぞという迷信的なものとは全然別物なので、あんなあやふやな奇蹟的なものではない。儼然《げんぜん》たる科学の範囲に属する感覚である事である。
 すなわち普通の人が知っている眼、耳、鼻、口等の五官の作用以外に存在する凡《すべ》ての直覚力を仮りに「第六感」と名付けたもので、手近く人間の第六感で例を引けば、或る人間が或る一瞬間に、理窟も何も考えないで、ただ「これはこうだナ」とか「それはそうだナ」とか感じた事が百発百中|図星《ずぼし》に的中《あた》っている事で、新聞記者が朝眼を覚ますと同時に「今日は何か事件の起りそうな日だな」と思ったり、又は刑事巡査が犯罪の現場に来ると直ぐに「犯人はまだ近くに居るな」と感じたりするのが、まるで偶然のように事実と符合して行くのは皆、この第六感の作用に他ならないのである。その他、博奕打《ばくちうち》が相手の懐合《ふところあ》いを勘定したり、掏摸《すり》やインチキ師が「感付かれたな」と感付いたり、馬道《うまみち》あたりの俥屋が、普通の客としか見えない男を捕えて「吉原《なか》まで如何
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