ルロ・ナイン嬢の言葉と比較して、この男の説明が余りに現金的で外国式なために、見物の同情を惹かなかったのであろう。全く別の見物人のように冷淡な、反響のない群衆と化してしまっていた。
燕尾服は一寸張合抜けの体《てい》であったが、又勇を鼓して一歩踏み出して附け加えた。
「……ええ……なお一言申上げます。実は只今身支度のため楽屋へ引取りましたカルロ・ナイン嬢は、只今から演じまする馬の舞踏会には今日《こんにち》まで出演致した事は一度もないのでございますが、今日《こんにち》は特に、皆様へお詫びの心を現わしまするために、平生愛乗致しておりまするあの御承知の白馬『崑崙《こんろん》号』と共に参加致したいとの希望……」
あとの言葉は耳が潰れたかと思われる拍手の音で聞えなくなってしまった。その中《うち》に燕尾服は腰を二重に折り曲げて最敬礼をした。
……三時二十八分……あと二分……。
又一としきり大波のように拍手の音が渦巻き返った。
同時に楽屋の入口に垂れ下っている緑色の揚げ幕の中から、嚠喨《りゅうりょう》たる音楽の音《ね》が、静かに……静かに流れ出して来た…………………………………。
私の頭髪が
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