この時に相違ありませんので、この時以来、今日に至るまで引き続いて参りました小生一家の不幸は、大部分コンドルの仕業《しわざ》と申しても差支えないのであります。
 コンドルは先ず小生と妻とを引き離すべく小生を誘って、J・I・C結社の団員に引き入れましたが、永らく日本を離れておりまして、一種の亜米利加式、無国民性者《コスモポリタン》化しておりし上に、無学で、無智でありました小生は、コンドルの云う通りにこの秘密結社の仕事を、最も男性的な、堂々たるものと信じておりました。すなわちこの結社は米国政府、暗黒局《ブラック・チェンバー》の直轄に属するもので、虚無党、社会党、無政府党以上に強大な勢力を有し(以上は或る程度迄事実)全世界に亘って弱きを扶《たす》け、強きを挫《くじ》く大侠客的の事業を行う理想的の直接行動機関(これは全然欺瞞)と信じまして、コンドルが指導するままに、持っているだけの毒薬の知識を事業遂行のために提供し、又は不良少年時代の記憶を再現さして、或は富豪を脅かし、又は名士を殺したり致しました。現在小生のポケットに納めております五連発の拳銃《ピストル》は、その時の形見でありまして、既に六人の
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