たという。
鼾声《かんせい》雷《らい》の如く[#「鼾声《かんせい》雷《らい》の如く」は本文より5段階大きな文字]
酔臥《すいが》して後《のち》行衛を晦《くら》ます[#「酔臥《すいが》して後《のち》行衛を晦《くら》ます」は本文より5段階大きな文字]
正木博士は総長室を出ると無責任にも死傷せる患者を医員連の看護に一任したまま帰途に就いた模様であるが、その途中どこかで飲酒泥酔したらしく、その夕方、福岡市|湊町《みなとまち》の下宿に帰って二三時間のあいだ雷《らい》の如き鼾声《かんせい》を放って熟睡していた。それから同夜九時頃になると「飯喰いに行って来る」と称して飄然《ひょうぜん》として下宿を出でそのまま行衛《ゆくえ》を晦《くら》ましたとの事であるが、仄聞《そくぶん》するところに依れば窃《ひそ》かに九大精神病科の自室に引返し徹宵《てっしょう》書類を整理していたともいう。
狂人を模倣した[#「狂人を模倣した」は本文より5段階大きな文字]
気味悪い屍体[#「気味悪い屍体」は本文より5段階大きな文字]
然るに本日午後五時頃、大学裏海岸を通りかかった沙魚《
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