いるうちに私の呼吸がだんだんと静まって来た。そうして吾にもあらず眼を伏せて、頭を低《た》れてしまったのであった。
「……犯人は俺だよ……」
と博士は空洞《ほらあな》の中で呟《つぶや》くような声で云った。
私は思わずビクリとして顔を上げた。弱々しい、物悲しい微笑を漾《ただよ》わしている博士の顔を仰いだが又、ハッと眼を伏せた。
……私の眼の前が灰色に暗くなって来た。全身の皮膚がゾワゾワと毛穴を閉じ初めたような……。
私はヒッソリと眼を閉じた。わななく指を額に当てた。心臓がドキンドキンと空に躍りまわっているのに、額は冷めたく濡れている。その耳元に正木博士の悄然《しょうぜん》たる声が響く。
「……君がそこまで判断力を回復しているならば止むを得ない。一切を打明けよう」
「……………」
「何を隠そう。吾輩は夙《と》うから覚悟を決めていたのだ。この調査書類の内容の全部が、吾輩をこの事件の犯人として指していることを、最初から明かに認めていながら、知らぬ顔をし通して来たのだ」
「……………」
「この調査書類の内容は一字一句、吾輩を指して『お前だお前だ。お前以外にこの犯人はない』と主張しているのだ
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