《ぼく》して往生講式七門の説法を講じ、浄土三部経を読誦《どくじゅ》して七日に亘る大供養|大施餓鬼《だいせがき》を執行《しゅぎょう》す。当日虹汀は自ら座に上り、略して上来の因縁を述べて聴衆に懺悔《ざんげ》し、二首の和歌を口吟《くちずさ》む。
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唱  六っの道今は迷はじ六《む》っの文字
       み仏の世にくれ竹の杖      坪太郎
和  くれ竹のよゝを重ねてみほとけの
       すぐに空《むな》しき道に帰らむ     六美女
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 続いて貧道座に上り、委《くわ》しく縁起の因果を弁証し、六道《りくどう》の流転《るてん》、輪廻転生《りんねてんしょう》の理《ことわり》を明らめて、一念|弥陀仏《みだぶつ》、即滅無量罪障《そくめつむりょうざいしょう》の真諦《しんたい》を授け、終つて一句の偈《げ》を連らぬ。
  一念称名声《いちねんしょうみょうのこえ》 功徳万世伝《くどくばんせいにつたう》 青黛山寺鐘《せいたいさんじのかね》 迎得真如月《むかええたりしんにょのつき》
 なほ六美女は当時十八歳なりしが、かねてより六字の名号《みょうごう》を紙に写すこ
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