から聞きますと、お八代さんの叫声《さけびごえ》を聞きつけた若い者が二三人起きて参りまして、若旦那を押えつけて、細引で縛ったそうで御座いますが、その時の若旦那の暴れ力というものは、迚《とて》も三人力や五人力ではなかったそうで、細引が二度も引っ切れた位だそうで御座います。それをやっとの事で動けないようにして、離家《はなれ》の床柱の根方《ねもと》へ括《くく》り付けますと、若旦那は疲れが出たらしく、そのままグウグウ眠って御座ったそうですが、やがてその中《うち》に又眼が醒めますと不思議にも、若旦那の様子がガラリと違いまして、警察の人が物を尋ねられても、ただ何という事なしにキョロキョロして御座るばかり、返事も何もなさらなかったそうで御座います。……この前、直方《のうがた》でも、あの病気が出たそうで御座いますが、その時はやはり大学の先生のお調べで、麻痺薬《まやく》をかけられていた事が判りましたそうで、その後も何とも御座いませんので連れて来たと、お八代さんは云うておりましたが、血統《ちすじ》というものは恐ろしいもので今度の模様を見て見ますと、やはりあの巻物の祟りに違いないようで御座います。
 ――もっ
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