鉄の茄子《なす》が附いているのでした。何でもよっぽど古いもので、母が故郷を出る時から締めていたのだそうですが、しかし、それがどうしたのか、よく解りませんでしたから俯向《うつむ》いていますと「お前はこれで母親を締め殺したんだろう」と谷警部が雷《かみなり》のような声で怒鳴りました。アンマリ非道《ひど》いので僕はカッとなって、思わず立上って谷警部を睨みつけましたが、その時に又、頭が割れるように痛んで嘔き気がつきましたので、机の上に両手をついて、身体《からだ》をブルブル震わして我慢していました。けれども口惜《くや》しくて口惜しくて涙がポロポロ出て来るのを、どうしても止める事が出来ませんでした。
――谷警部はそれから又、いろんな事を云って僕を責めました。この警部はここいらの炭坑中の悪党が「鬼」とか「鰐」とか云って怖がっているのだそうですが、僕は何ともありませんでしたから、黙って聞いておりますと……今朝八時半頃、いつもの通り塾生が二三人お稽古に来たが、いつになく裏表の戸が閉《し》まっているのを見て、裏の家主《おおや》さんに知らせた。それで家主のお爺さんが勝手口の戸の隙間《すきま》から大きな声で呼
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