、再現したものに他ならない事が発見されるのである。しかしこれとても前に述べた肉体の解剖的観察と同様、胎児が如何にしてそんな千万無量の複雑多様の心理の記憶を、その細胞の潜在意識、もしくは本能の中に包み込んで来ているのか、
「何が胎児をそうさせたか」
 というような事柄は全く説明されていない。否、一個の人間の精神の内容が、そんなような過去数億年間に於ける、万有進化の遺跡そのものであるという事実すらも「人間は万物の霊長」とか「俺は人間様だぞ」とかいう浅薄《あさはか》な自惚《うぬぼ》れに蔽《おお》い隠されて、全然、注意されていない状態である。

 以上は胎児の胎生と、その胎生によって完成された成人の肉体と、精神上に現われている、万有進化の遺跡に関する不可思議現象を列挙したものであるが、次にはその人間が見る「夢」の不可思議現象に就いて観察する。

 夢というものは昔から不思議の代表と認められているので、少しでも意外な事に出会うと、直ぐに「これは夢ではないか」と考えられる位である。実物とすこしも違わぬ森羅万象《しんらばんしょう》が見えるかと思うと、想像も及ばぬ奇抜、不自然な風景や、品物がゴチャゴチ
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