ようかと思う。誰も居なければ盗んでやろうか。他《ひと》の小便を嗅《かい》でおこうか。自分の遺物は埋めておこうか……なぞいった畜生のままの心理の表現を、吾人は日常生活の到る処に発揮しているので、誰でも口にする「コン畜生」とか「この獣《けだもの》め」とかいう罵倒詞に当て嵌《はま》る心理のあらわれは皆、これに他ならぬのである。
次に、この禽獣性の下に在る隔膜《かくまく》を、今一つ切開くと今度は、その下から虫の心理がウジャウジャと現われて来る。
たとえば、仲間を押し落しても高い処へ匐《は》い上ろうとする。誰にも見えない処を這い廻って美味《うま》い事をしようとする。うまい事をすると、すぐに安全第一の穴へ潜り込もうとする。栄養のいい奴を見付けるとコッソリ近付いて寄生しようと試みる。あたり構わぬ不愉快な姿や動作をして一身を保護しようとする。固い殻に隠れて寄せ付けまいとする。敵と見ると、ほかの者を犠牲にしても自分だけ助かろうとする。いよいよとなると毒針を振廻す。墨汁《すみ》を吹く。小便を放射し、悪臭を放散する。又はそこいらの地物《じぶつ》や、自分より強い者の姿に化ける……なぞ、低級、卑怯な人間のす
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