未曾有式超特急の脳髄学大博士を飛び出させているのだ。脳髄に関する従来の汎世界的迷信を一挙に根柢から覆滅《ふくめつ》させて、この大悪魔「脳髄」の怪作用……ノンセンスの行き止まり……アンポンタンの底抜けとも形容すべき簡単、明瞭な錯覚作用の真相を、煌々《こうこう》たる科学の光明下に曝《さ》らけ出し、読者の頭をグワ――ンと一撃……ホームランにまで戞飛《かっと》ばさせている……という筋書なんだがドウダイ……読者に受けるか受けないか……。
 ナニ。まだわからない……もう些《すこ》し聞いてみなければ……。
 何だって……空想小説じゃないかって……。怪《け》しからん……。だから一番最初に「科学探偵事実小説」と断っているじゃないか。空想なんてものをコレンバカリも取入れたら、全篇の興味がゼロになってしまうじゃないか。むろんそうだとも……初めから一分一厘ノンセンスものじゃないんだから安心して聞き給え。そんな甘物じゃない事が、その中《うち》にわかって来るんだよ。いいかい……。
 ところでその青年名探偵、兼、脳髄学の大博士は、吾輩が仮りにアンポンタン・ポカン君と名付けている二十歳ばかりの美青年なんだ。いいかい…
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