たいはい》させ、堕落させ、迷乱化《めいらんか》させ、悶絶化させつつ、何喰わぬ顔をして頭蓋骨の空洞の中にトグロを巻いているという、悪魔中の悪魔ソレ自身が脳髄ソレ自身になって来るという一事だ。
むろんこれは吾輩一流の法螺《ほら》やヨタじゃない。吾輩の専門の名誉にかけて断言するのだから……。
エッ……脳髄は物を考える処だ……と云うのかい。
そうだよ。みんなそう思っているんだよ。現代一流の科学者は勿論のこと、全世界のありとあらゆる種類、階級の人々は、プロとブルとを押しなべて皆、脳髄で物を考えているつもりで生きているんだ。ラジオも、飛行機も、相対性原理も、ジャズも、安全|剃刀《かみそり》も、赤い理論も、毒|瓦斯《ガス》も何もかも、この一二〇〇|瓦《グラム》以上、一九〇〇|瓦《グラム》以下の蛋白質のカタマリから生み出されたものと確信し切っているのだ。
成る程、人間の屍体を解剖して、脳髄なるものを覗いてみると、そうした考え方は万々間違いないように見える。大脳、小脳、延髄、松果腺《しょうかせん》なんどと、無量無辺に重なり合っている、奇妙キテレツな恰好をした細胞が、やはり、奇想天外式に変形した神
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