極度に面喰らわせ得る謎というのは、取りも直さず「脳髄」そのものに関するソレ[#「ソレ」に傍点]でなくてはならぬ事が必然的に考えられて来るだろう。
果然と※[#感嘆符二つ、1−8−75] ……一つ脅《おど》かしておくかね。ハハハハハハ。何を隠そうその「脳髄」こそは現代の科学界に於ける最大、最高の残虐、横道《おうどう》を極めた「謎の御本尊」なんだ。人体の各器官の中でもタッタ一つ正体のわからない、巨大な蛋白質製のスフィンクスなんだ。地上二十億の頭蓋骨を朝から晩までガンガンいわせ続けている怪物そのものに外《ほか》ならないのだ。
人間の脳髄と称する怪物は、身体の中でも一番高い処に鎮座して、人間全身の各器官を奴僕《ぬぼく》の如く追い使いつつ、最上等の血液と、最高等の営養分をフンダンに搾取している。脳髄の命ずるところ行われざるなく、脳髄の欲するところ求められざるなし。何の事はない、脳髄のために人間が存在しているのか、人間のために脳髄が設けられているのか、イクラ考えても見当が付かないという……それ程左様に徹底した専制ぶりを発揮している人体各器官の御本尊、人類文化の独裁君主がこの脳髄様々に外ならない
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