するやら。油断がならぬと今の世までも。昔ながらにいうその上に。あれは血統《ちすじ》じゃ扨《さて》おそろしやの。何の祟《たた》りじゃ応酬《むくい》じゃなんどと。眼指《めざ》し指さしするのが世間じゃ。そんなサナカに自分の身内に。思いがけない精神病者が。ヒョイと出て来るサア一大事じゃ……チャカポコチャカポコ……
 ▼あ――ア。ヒョイと出て来るサア大変だよ。それも上流、金持ち社会で。ものに不自由せぬ家《うち》だったら。座敷牢でも作れば片付く。治癒《なお》る当てどもない病院へ。入れる必要あるまいなんぞと。アッサリ云うのは上流社会の。つらいところを知らない人だよ。すこし世間に知られた一家で。一度キの字を出したら最後じゃ。万劫《まんごう》末代|血統《ちすじ》に障《さわ》る。早い話が忰《せがれ》や娘の。縁があぶなくなるその上に。近所隣りの目下の連中に。あれは非道《ひどう》なお金の祟りよ。無理な出世の報《むく》いよなんどと。白い眼をされ舌さし出され。うしろ指をば指《さ》さるる辛《つ》らさ。御門構えの估券《こけん》にかかわる。そこで情実、権柄《けんぺい》ずくだの。縁故|辿《たど》った手数をつくして。赤い煉
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