ました遠い原因も亦《また》、実にこの一篇の中に胚胎していると申しましょうか……その次に在ります西洋大判罫紙《フールスカップ》の走り書きは、その正木先生がそれ等の研究に、最後の結論を附けるべく書き残されました『解放治療の実験の結果報告』とも見るべき正木先生の遺言書です……ですから貴方は、それ等の書類を、その順序に御覧になりさえすれば、正木先生が精神科学の大道を開拓すべく、生涯を賭《と》して研究して行かれた痛快な事蹟が、たやすく、順序正しくおわかりになるで御座いましょう。同時に、あなた御自身の御経歴を、裏面から支配して、今日の御運命に立ち到らせた、曠古《こうこ》の大学理の流動、旋転が、一々大光明を発して、万華鏡《まんげきょう》の如く華やかに、グルリグルリと廻転しつつ、あなたの眼の前に……」
私は若林博士の説明を、ここいらまでしか記憶していない。そんな説明を聞きながらも、何気なく一番初めの赤い表紙の小冊子を開いて、第一|頁《ページ》の標題から眼を通して行くうちに、いつの間にか本文に釣り込まれて、無我夢中に読み続けていたので……
キチガイ地獄外道祭文[#「キチガイ地獄外道祭文」は本
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