通りに読んで行きますと、正木先生の御研究の内容が、その研究を進めて行かれた順序通りに、容易《たやす》く、面白く理解されて行く仕掛になっているようで御座います。
 ……すなわち、その一番初めに綴込んであります赤い表紙のパンフレットは、正木先生が日本内地を遍歴される片手間に、到る処の大道で、人を集めて配布された『キチガイ地獄|外道祭文《げどうさいもん》』と題しまする阿呆陀羅経《あほだらきょう》の歌で、現代に於ける精神病者虐待の実情を見て、これを救済すべく、精神病の研究を初められた、そのそもそもの動機が歌ってあるので御座います。
 ……それから次に羅紗紙《らしゃがみ》の台紙に貼付けてありますのは、当地の新聞に掲載されました正木先生の談話を、御自身に保存しておかれた切抜記事で御座いますが、その中《うち》でも最初に『地球表面上は狂人の一大解放治療場』云々と題してありますのは、正木先生が、今申しました狂人救済の動機から、精神病の研究に着手された、その最初の研究的立場を、辛辣《しんらつ》な諧謔《かいぎゃく》交《まじ》りに、新聞記者へ説明されましたもので『この地球表面上に棲息している人間の一人として精
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