な事実の摘発で、考えように依っては非常識なものに見えましたためか、真剣になって共鳴する者が無かったらしく、とうとう世間から黙殺されてしまいましたのは返す返すもお気の毒な次第で御座いました。……もっとも、その祭文歌の中に摘発してあります精神病院の精神病者に対する虐待の事実なぞが、一般社会に重大視される事になりますと、現代の精神病院は一つ残らず破毀《はき》されて、世界中に精神異状者の氾濫が起るかも知れない事実が想像され得るのでありますが、しかし正木先生は、左様な結果なぞは少しも問題にしてはおられなかったようで、唯、将来御自分の手で開設されるであろう『狂人解放治療』の実験に対する準備事業の一つとして、斯様《かよう》な宣伝をされたものと考えられるので御座います」
「それじゃ矢《や》っ張《ぱ》り……」
 と云いさした私は、思わずドキンとして座り直さずにはおられなかった。そうして唾液《つば》を嚥《の》み込み嚥み込みつぶやいた。
「それじゃ……やっぱり……僕を実験にかける準備……」
「さようさよう……」
 と若林博士は猶予もなく引取ってうなずいた。
「前にも申しました通り、正木先生の頭脳は、吾々の測
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