な迷宮遊びといったようなトリックでもって充実させられておりますために、斯様な名前を附けたものであろうと考えられます」
「……脳髄の地獄……ドグラ・マグラ……まだよく解かりませぬが……つまりドンナ事なのですか」
「……それはこの原稿の中に記述されている事柄をお話し致しましたら、幾分、御想像がつきましょう。……すなわちこのドグラ・マグラ物語の中に記述《しる》されております問題というものは皆、一つ残らず、常識で否定出来ない、わかり易い、興味の深い事柄でありますと同時に、常識以上の常識、科学以上の科学ともいうべき深遠な真理の現われを基礎とした事実ばかりで御座います。たとえば、
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……「精神病院はこの世の活《いき》地獄」という事実を痛切に唄いあらわした阿呆陀羅経《あほだらきょう》の文句……
……「世界の人間は一人残らず精神病者」という事実を立証する精神科学者の談話筆記……
……胎児を主人公とする万有進化の大悪夢に関する学術論文……
……「脳髄は一種の電話交換局に過ぎない」と喝破した精神病患者の演説記録……
……冗談半分に書いたような遺言書……
……唐時代
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