たまま、呼吸《いき》を喘《はず》ませた。
「……後生ですから……後生ですから……その罰を受けて下さいませんか……そうして……そんな気の毒な人達の犠牲を無駄にしないようにして下さいませんか……喜んで……心から感謝してその研究の発表を、僕に引受けさして下さいませんか」
「……………」
「その罰の手初めには、若林博士を僕が引張って来て、先生の前で謝罪させます。恋の怨みだったかドウか……どうしてコンナ恐ろしい……非道い事をしたか……白状させます……」
「……………」
「……それから先生と、若林博士とお二人で、被害者の人達に謝罪して下さい。その斎藤先生の肖像と、直方《のうがた》で殺された千世子の墓と、それからあの狂人《きちがい》の呉一郎と、モヨ子と、お八代さんの前に行って、一人一人になすった事を懺悔《ざんげ》して下さい。学術研究のためだった……と云って、心からお二人であやまって下さい……」
「……………」
「お願いというのはそれだけです。……ドウゾ……ドウゾ……後生ですから……僕が……こうして……お願いしますから……」
「……………」
「……ソ……そうすれば……僕はドウなっても構いません。手でも足でも、生命《いのち》でも何でも差上げます。……この研究を引継げと仰言《おっしゃ》れば……一生涯かかっても……一切の罪を引き受けても……」
私はタマラなくなって両手で顔を蔽《おお》うた。その指の間を涙が迸《ほとばし》り流れた。
「……コ……コンナ非道い……冷血な罪悪……ああ……ああ……僕はモウ頭が……」
私は大|卓子《テーブル》の上に崩折《くずお》れ伏した。声を立てまいとしても押え切れない声が両手の下から咽《むせ》び出た。
「……ス……済みませんが……僕に……みんなの……か……讐《かたき》を取らして下さい……」
「……………」
「……この研究を……シ……神聖にして下さい……」
「……………」
「……………」
……コツコツ……コツコツ……と入口の扉《ドア》をたたく音……。
……私はハッと気が付いた。慌ててポケットからハンカチを取り出して、涙に濡れた顔を拭いまわしながら、正木博士の顔を見上げると……ギョッとして息が詰った……。
それは昂奮の絶頂まで昇り詰《つめ》ていた私の感情を、一時に縮み込ませてしまった程恐ろしい、鬼のような形相であった。……瀬戸物のように血の気を喪《うしな》っ
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