ゃA君もここに居る訳ですね。ヘエ――ッ。ほんとうに居るのですか。……ちっとも知らなかった。イッタイどこに……。
エッ。……ここに居る……。
……ナ……何ですか……私がその新聞記者のAだと仰有るのですか。御冗談ばかり……私は只今も申しました通り、谷山家の養嗣子秀麿ですが。その久美子という、猛獣天女の亭主に相違ないのですが……龍代と二重結婚をしたアノ白痴同様の……。
エッ。その秀麿……谷山家の養子になった私が、ここに入院した原因をお尋ねになるのですか。そ……それはその……その発狂当時の事ですからチョット思い出しかねるのですが……。
……お笑いになっちゃ困ります。鏡なんか見なくたっていいです。自分の顔は自分でちゃんと知っております。
……ナ……ナ……何と仰有るのですか。その谷山秀麿は、今でもやはり谷山家の養子になって、盛んに事業界に活躍している。後妻には山の中から久美子を迎え出して、谷山夫人を名乗らしている……そ……それあ怪《け》しからんじゃないですか……二人は今後、絶対に人間世界に帰らないと云って、あれ程固く約束していたのに……イヤイヤ。私の想像なんかじゃないのです。事実に相違な
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