成」
 と皆が総立ちになって手を挙げました。すると忽《たちま》ち五郎さんのお腹がキリキリと痛くなりましたので、思わず、
「苦しい苦しい」
 と叫びました。
「あれ、苦しいと言っててよ」
 とドロップ嬢が心配そうに云いますと、兎の姿をしたワッフルが笑って、
「アハハハハ、自分が悪いのだから仕方がない。まあ暫く辛抱してもらうさ。さあさあ、踊ったり踊ったり」
 と云ううちに、もう踊り初めました。
 ボンボンが太鼓をたたく。ローリングがピアノを弾く。ウエファース嬢が歌い出す。それにつれて五色の着物を着た小人のミンツ達を先に立てて、キャラメル嬢をまん中にワッフルの兎、ドロップの道化役者、チョコレートの黒ん坊、ドーナツの大男、そのほかいろいろのお菓子達が行列を立てて行くあとから、スポンジ嬢が手鼓《てつづみ》をたたきながらついて行きます。
 こうして沢山のお菓子たちがみんな一所に輪を作ると、一二三というかけ声ともろ共に一時に踊り出しました。
「プーカプーカ、チョコレート
 プーカプーカ、ローリング
 ミンツ、ワッフル、キャラメル、ウエファース
 ドーナツ、スポンジ、ボンボンボン

 太鼓の響はボンボ
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