うように単に緯度経度が、書き加えてあるところも少しはあった。
この記録はかれこれ二十年以上も続いていて、年月がたつにつれて一々の記入高が大きくなってゆき、終りに、五六度間違った寄算をした後に総高が出してあって、「ボーンズの身代」という言葉が書き加えてあった。
「何のことだか私にはさっぱりわからん。」とリヴジー先生が言った。
「真昼のように明白だよ。」と大地主さんが大声で言った。「これはあの腹黒の畜生めの会計簿さ。この十字記号は奴らの沈めた船か掠奪した町の名の代りなんだ。金高はあの無頼漢の貰った分前だし、それから、曖昧ではいけないと奴《やっこ》さんの思ったところでは、何とか幾分はっきりと書き足してあるだろう。それ、『カラカス沖』とあるね。これは、その海岸の沖で海賊どもに乗り込まれた不幸な船があったということなんだよ。可哀そうに、その船に乗っていた人たちはねえ、――とっくの昔に珊瑚になっているだろうよ。(註二七)」
「なるほど!」と医師が言った。「さすがに旅行家は違ったものだ。いや、その通り! そして、この男の地位が上るにつれて、金高が殖えていますね。」
この帳簿には、その他に、終り近
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