てくれと言ったので、ドッガーのくれた鐙《あぶみ》にぶら下って私は降りた。ほとんどすぐに女中が戸を開いた。
「リヴジー先生はいらっしゃいますか?」と私は尋ねた。
いいえ、と女中は言った。先生は午後帰って来たのだが、お屋敷へ晩餐によばれて行って、今夜は大地主さんと一緒に過している、とのことだった。
「それではそこへ行こう、諸君。」とダンスさんが言った。
今度は、道程《みちのり》が近かったので、私は馬には乗らずに、ドッガーの鐙革《あぶみかわ》につかまりながら門番小屋附の門まで走って行った。そこから、葉が落ちてしまって、月光に照されている、長い並木路を上って、屋敷の建物の白い輪廓が大きな古い庭園を両側に見渡している処まで来た。ここでダンスさんは馬から下りて、私を一緒につれてゆき、一言通ずると、家の中へ通された。
下男は私たちを導いて筵《むしろ》を敷いた廊下を通ってゆき、ついに大きな書斎へと案内した。書棚がぎっしりと列んでいて、その一つ一つの書棚の上には胸像が置いてあった。そこに、大地主さんとリヴジー先生とが、パイプを手にして、真赤に燃えている炉火の両側に腰掛けていた。
私は大地主さんを
前へ
次へ
全412ページ中62ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
佐々木 直次郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング