の中へ高く響きわたった。四つの蹄は彼を踏みにじり蹴飛ばして通り過ぎた。彼は横倒しに倒れ、それからぐにゃりと俯向になって、それっきり動かなくなった。
私は跳び立って、馬に乗っている人たちに声をかけた。彼等もこの椿事《ちんじ》にびっくりして、ともかく馬を留めようとしていた。それで彼等が何者か私にはすぐにわかった。皆の後に後《おく》れてやって来たのは、村からリヴジー先生の許へ行った若者であった。その他の人々は税務署の役人たちで、その若者は途中でこの人たちに会い、気転を利かして一緒に直ちに引返して来たのだ。例の帆船《ラッガー》がキット入江に入っているという知らせが監督官のダンスさんの耳に入ったので、彼はその晩私の家の方向へやって来たのだった。そのお蔭で母と私とは命拾いをしたのである。
ピューは死んでいた。まったくことぎれていた。母の方は、村まで運んで行って、冷い水を少しや嗅塩《かぎしお》(註二一)や何やをやると、間もなく再び正気に返った。怖がったのだがそのために別条はなかった。しかしまだ受取るお金の足りなかったことをこぼし続けていた。一方、監督官は出来るだけ速くキット入江へ馬を走らせた。け
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