強好きな青年たちが、
昔の嗜好を忘れてしまい、
キングストンや、勇者バランタインや、
森と波とのクーパー(註一)を、もはや欲しないなら、
それもまたよろしい! それなら私と私の海賊どもは、
それらの人や彼等の創造物の横《よこたわ》る
墳墓の中に仲間入りせんことを!
[#ここで字下げ終わり]
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第一篇 老海賊
第一章「|ベンボー提督《アドミラル・ベンボー》屋」へ来た老水夫
大地主のトゥリローニーさんや、医師のリヴジー先生や、その他の方々《かたがた》が、私に、宝島についての顛末を、初めから終りまで、ただまだ掘り出してない宝もあることだから島の方位だけは秘して、すっかり書き留めてくれと言われるので、私は、キリスト紀元一七――年に筆を起し、私の父が「|ベンボー提督《アドミラル・ベンボー》屋(註二)」という宿屋をやっていて、あのサーベル傷のある日に焦《や》けた老水夫が、初めて私たちの家《うち》に泊りこんだ時まで、溯ることにする。
私は、彼が、船員衣類箱(註三)を後から手押車《ておしぐるま》で運ばせながら、宿屋の戸口のところへのそりのそりと歩いて来た時のこ
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