っとも心配《しんぺえ》するこたねえや。己たちゃ[#「己たちゃ」に傍点]間違ったこたぁしねえよ、己たちはな。第《でえ》一、お前は今度の仕事をやり損《そこ》ねた。――いくらお前がずうずうしい男だって、これにゃそうじゃねえとは言えめえ。第二に、お前は敵をこの罠から何にもならねえのに逃がしちまった。なぜ奴らは出て行きたがったか? そりゃ己ぁ知らねえ。だが奴らがそうしたがってたこたぁ確かだ。第三、お前は、己たちが奴らの出かけるとこをやっつけようとするのを、させなかった。おお、己たちぁお前の腹の底を見抜いてるんだよ、ジョン・シルヴァー。お前は奴らに内通したがってるんだ。それがお前の不都合なとこだ。それから、第四は、この小僧のことだ。」
「それだけか?」とシルヴァーが平然と答えた。
「これだけあれぁたくさんさ。」とジョージが言い返した。「お前のへまのために己たちぁみんなぶらんこになって天日《てんぴ》に曝《さら》されるだろうよ。」
「よし、じゃあ、いいか。その四箇条に返答してやろう。一つ一つ返答してやる。己が今度の仕事をやり損ねたと? ふむ、ところで、手前たちはみんな、己のやりたかったことを知ってるはずだ。それから、もしその通りになってたら、己たちぁ明日《あす》といわず今晩にもヒスパニオーラ号に乗り込んでて、一人残らず生きていて、元気で、うめえ乾葡萄入りのプディングをたらふく食べ、宝を船艙に一|杯《ぺえ》積み込んでた、ってことも知ってるはずだ、畜生! そんなら、だれがその己の邪魔をしたんだ? だれがこの正式の船長の己をせき立てて早まらせたんだ? だれが己たちの上陸した日に己にあの黒丸をつきつけて、この舞踏《ダンス》を始めたんだ? ああ、面白《おもしれ》え舞踏だよ、――違えねえや、――ロンドンの仕置波止場でぶら下げられて縄の先でやる踊りみてえさ、まったくな。だが、だれがこんなことをやったんだ? そうさ、それぁアンダスンと、それからハンズと、それから手前、ジョージ・メリーだぞ! そして手前はそのおせっかいな奴らの中で一人だけ生き残ってる奴なんだ。それだのに、生意気千万にも己に代って船長になろうとするなんて、――己たちみんなをこんな目に遭わせた手前がだ! こん畜生め! こんな大べらぼうな話って聞いたこたぁねえ。」
シルヴァーはちょっと言葉を切ったが、私は、ジョージとその仲間の者たちの顔
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