波瀾はこの巻において完全に準備される。〕
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第一章 五年後 ロンドン。前章から五年後すなわち一七八〇年。初めに、ロンドンのテムプル関門《バー》の傍にある古風なテルソン銀行が描かれる。極めてイギリス風な銀行であることが巧みに語られている。それに附随して、テムプル関門《バー》の上に曝されている処刑者の首のことから、当時死刑ということが少しも珍しくなかったことが書かれているのは、続章に出て来る叛逆罪の裁判に対する一種の予備知識を読者に与えるためであろう。それに続いて、この銀行の戸外に息子と共にあたかも「銀行の生きた看板」であるかのような役を勤めているジェリー・クランチャー君が再び登場する。その年の三月のある朝。まず彼の私宅の場から始る。クランチャー君は、息子の小ジェリー君や、前に出た女丈夫プロス女史や、後に出て来る弁護士ストライヴァー先生と共に、この物語における喜劇的人物である。自ら「実直な商売人」と称する彼が、温順にして敬虔な細君の祈祷に頻りに文句をつけるのは、何か多少良心に疚しい所業をしているからであろう。彼のいわゆ
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