のである。
 その収税請負人は豪奢な男であった。三十頭の馬が彼の厩舎にいたし、二十四人の家僕が彼の広間に控えていたし、六人の侍女が彼の妻に侍していた。掠奪と徴発との出来る限りはひたすらそれをのみやるということを公言している人間として、この収税請負人は、――彼の婚姻関係がいかに社会道徳に貢献するところがあったにしても、――当日モンセーニュールの邸宅に伺候した貴顕縉紳の間にあっては、少くとも最も現実性に富んだ人物であった。
 なぜなら、その室にいる者たちは、見た目には美しくて、当代の趣味と技巧とでなし得る限りのあらゆる意匠の装飾で飾られてはいるけれども、実際は、健実な代物ではなかったからである。どこか他の処にいる(そしてそれは、貧富の両極端からほとんど等距離にあるノートル・ダムの展望塔がその両方ともを見られないくらいに遠く隔ってもいない処なのであるが)襤褸《ぼろ》と寝帽《ナイトキャップ》とを著けた案山子《かかし》たちと幾分でも関聯して考えると、その室にいる者たちは極めて気持の悪い代物であったろう、――もしモンセーニュールの邸宅で誰かそういうことを考えてみる人間があったとするならばであるが。
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