動かざる永遠の灯《ともしび》――その中のあるものは、この小さな地球から非常に遠く隔っているので、その光線が果してこの地球をそこで何事でも苦しんだりしている空間中の一点として見つけたことさえあるかどうか疑わしいと学者が言っている――のその穹窿の下に、夜の影は広々とまた黒々としていた。夜が明けるまでの、冷い、眠られぬがちな時間を通じて、その夜の影は、ジャーヴィス・ロリー氏――埋められていて掘り出された人と向い合って腰を掛け、この人からどんな微妙な能力が永久に失われたのか、どんな能力が囘復出来るのかと訝《いぶか》っているロリー氏――の耳に、もう一度、あの以前の問を囁いた。――
「あなたは甦《よみがえ》りたいとお思いでしょうね?」
それからまたあの以前の答を囁くのだった。――
「わしにはわからない。」
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第二巻 黄金《こがね》の糸
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第一章 五年後
テムプル関門《バー》の傍のテルソン銀行は、一千七百八十年においてさえ、古風な場所であった。それはごく狭くて、ごく暗くて、ごく不体裁で、ごく勝手が悪かった。その上に、その商社の社員たちがその狭いのを
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