の前にあるきれいなページをよごすほどのことはない。その私の名前は、すでにあまりにわが家門の侮蔑《ぶべつ》の――恐怖の――嫌悪《けんお》の対象でありすぎている。怒った風は、その類《たぐ》いなき汚名を、地球のはてまでも吹き伝えているではないか? おお、恥しらずな無頼漢《ならずもの》のなかの無頼漢! ――現世にたいしてお前はもう永久に死んでいるのではないか? その名誉にたいして、その栄華にたいして、その燦然《さんぜん》たる大望にたいして? ――そして、濃い、暗澹《あんたん》とした果てしのない雲が、とこしえにお前の希望と天国とのあいだにかかっているのではないか?
私はいまここで、たといそれができたにしても、自分の近年のなんとも言いようのない不幸と、許しがたい罪悪との記録を書きしるそうとはしまい。この時期――この近年――に背徳行為が急にひどくなったのであって、そのそもそものきっかけだけを語るのが、私のさしあたっての目的なのである。人間というものは普通は一歩一歩と堕落してゆくものだ。ところが、私の場合では、あらゆる徳が一時にマントのようにそっくり落ちてしまった。わりあいに小さな悪事から、私は大ま
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